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王道室 


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Audio Room 
懐かしいアナログと心癒される管球(タマ)の王道室(オーディオ室)へようこそ
Oudou shitsu

管球アンプの醍醐味 長年この趣味をやっているが、管球アンプ自作の楽しみもさることながら、神髄は管球の選定と交換を行い試聴することである。

アンプのツボについて 何事も要(ツボ)と言うものは存在するものだが、管球アンプにもそれぞれ一本の球を交換しただけで大変身の音を奏でると言ったような体験も多い
例えば、マランツ7のイコライザー・バッファーV3(ECC83)の管球の選定と交換を繰り返した結果、JJ数本の中一本を差換えたとたんにレコードの音に厚みが増し感動したことである。

DACの勧め 我王室は基本的にアナログ推奨であるが時勢に合わせて柔軟に対応する方針である。DAC(デジタル/アナログ変換装置)を使った真空管オーディオ・システムを紹介する。
現行使用例 インターネットAPP・音楽ソース・動画配信 OS WIN10 PC -->DSD-DACドライバー -->USBデジタル信号--> DAC(UD-301-SP DAC) -->アナログ音声信号--> プリアンプ(マランツ7) -->パワーアンプ(JB300B)-->スピーカ(タンノイ・SRM)
昨今は自粛の世に合わせ、前記のDACシステムにより部屋に居ながら、ハイレゾ&アップコンバージョンで映画館やライブの迫力を存分に楽しんでいる。
   
ティアック UD-301-SP DAC
ネイティブ再生DSD 5.6MHzやPCM 32bit/192kHzファイルといったハイスペックなデジタルオーディオの世界を体験でき、レート96kHz以下のデジタル入力信号に対して
2倍または4倍のアップコンバージョン処理を選択可能 デュアルモノーラル構成でL/R回路の分離と強化電源で応答性の良いD/Aを実現した。
メイン演奏の輪郭がリアルに迫り、かつバック演奏の細部も表現・・・感動!
録音状態のレコード再生に代わり客観的なソースとしてパワーアンプ等の評価が可能である。

LUX SQ-78  プリメインアンプ    スピーカー:タンノイ・イートンとの相性は良く、長年にわたり臨場感と音質に信頼を置いている
出力管としてST管2A3の音色をMT管に再現したNEC製 6RA8 PP を採用 絹のような品格を醸し出す。

   

タンノイ・イートン(点音源)による優れた音像表現力を誇る

 至高と試行錯誤
冒頭で述べたように究極の理想に対して美意識を磨き至高するのが趣味だと考えているので、理論と資金の投入だけではそれには遠く、試行錯誤の実践なくしては近づくことが難しいと感ずる。安易に高い機器に交換するのではなく、今手持ちのマテリアルの性能を120%以上発揮する努力をしてみること、たとえばコネクターやソケットを磨く、レベルバランスの合わせ込み、スピーカーのセッティング等で全く違った音質になることがある。ケーブル一本でも出来るだけ長所を引き出してやること、同じ規格の球でもとにかく差換えを行い試聴してみることがこの趣味の王道であり、醍醐味だと考える。

スピーカー :
タンノイ(英国) イートンとスーパーレッドモニター(SRM)は同軸2ウエイユニットの長所である点音源に近い定位感と空間表現が特徴。なぜツイーターとウーハーが同軸が良いのかは、スピーカーを自作した方なら理解していただけるかと思うが、両者を近づけるほど音の定位に存在感がでてくる。これはタイムドメイン(管球用語参照)から見ると点音源に近く、現状では最も自然な方法だといわれている。(実際には音は一点から球面状に広がるがユニットバッフル面は平面のため半球音源?)理想的なスピーカーの形状といっても一点は不可能なので球体スピーカーとなるが技術的には大変難しいようである。

スーパーレッドモニター(SRM)   スピーカーユニットと構造イメージ
 

SRM15in(38cm)ユニット  中心にホーンがわずかに確認できる。モニター系とも有り全体にフラットな特性で効率も比較的良い。低域から高域まで無理のない伸びがある。接続端子のショートバーでツイーターとウーハー、内部ネットワークを切り離しバイアンプやマルチアンプ駆動が可能。ユニット下部バッフル面にある3個のツマミによる出力特性の補正が可能となっている。音質はイートンより前に音を出す傾向でキレも良好、変換効率も良いためシングルアンプでもドライブ可能で総合的に秀逸である。箱自体もかなりの大きさと重さがある。数十年経過してもコーンとエッジはパンとしていて新品の様だ。楽器のように鳴らすほど良い音になってきたように感じる。

 SRM15in(38cm)同軸2ウエイユニット正面

バイアンプのススメ
バイワイヤリング接続可能なスピーカーと2台PAが有る場合一度はバイアンプ駆動を試してみると良いだろう。効果は スピーカーシステムへの駆動力は2倍となる。 HF=LFに起こる昆変調の大幅な低減が期待できる。
音質は全体の透明度が向上し明るくパッツリとしたもたつきの無い音質である。単独アンプ駆動のシットリとした穏やかさに比べるとキラメキや華やかさが強調されるようだ。

SRM 背面バイワイヤー接続可能ターミナル 説明書きのようにショートバーをEXT側に接続してHF、LFに専用のパワーアンプを接続する。HF側には高域の透明感に長所がある三極管シングルアンプが良い。LF側はパワーとキレのプッシュプルが合うようだ。右の接続図のスピーカーは3ウエイのバイワイヤリング接続例である。当然コントロールアンプ出力も2系統必要である。
構成実例:コントロールアンプ(マランツ #7)----LF(LUX A3550)/HF(サンバレー JB300B)------LF/HF(SRM)

 

タンノイ(英国): イートン・左(小型)、 スーパーレッドモニター(SRM)・右(大型)  写真@
スピーカ:左側 イートンは同軸2ウエイ、アルニコ・マグネットによる強力な磁場から出る奥深くスケール感がある音質が特徴。イートン+自作台+大理石板インシュレーター 右側 SRMも同軸2ウエイユニットの長所である楽器の定位感が特徴で大きさからは想像できない繊細さと歯切れの良さあり。SRM+市販キャスタ付き台車、

@


イートン  スピーカー同軸2ウエイ・ユニットと構造イメージ
 

イートン10in(25cm)ユニット
この10インチユニットもエッジは耐久性抜群である。JBLならすでに2回は張り替えているところだ!箱との割合から見て大きなユニットである。アルニコ・マグネットの効果か、ときとして凄い底力を見せる。高低域エンドに多少のピークが感じられ、個性的であるがゆえにチューニングは難しい。スピーカー面から後方に演奏空間が展開され、スピーカーの存在を意識させない表現をするのは秀逸で有り現代のものには無い立体感覚を得られる。一音々に芯がありピアノ等の表現ではインパクトがある。少し変換効率が低いため、多極管PPアンプなどが推奨される。スピーカー接続端子は固定でツイーターとウーハーは分離できない。ユニット下部バッフル面にある2個のツマミによる出力特性の補正が可能となっている。
イートン10in(25cm)同軸2ウエイユニット正面
 

イートン10in(25cm)ユニットとネットワークユニット
 

TANNOY EATON(イートン)
デュアルコンセントリックドライバーレガシーシリーズのデュアルコンセントリックドライバーは、トップクラスの位相特性とポイントソース(点音源)による優れた音像表現力を誇る

レコードプレーヤー :
DENON DP-790  写真A-1 
ターンテーブルシートは材質を換えて試聴してみたがフェルトで自作したものが合っているので使用している。シンプルなマニュアル操作だがDD(ダイレクトドライブ)モーターでベルトドライブのものよりベルト劣化や調整などが無いのでメンテナンスは楽になっている。トーンアームは比較的ロングアーム、シェル脱着式なのでカートリッジを聴き比べする場合、ワンタッチで交換できるので便利である。ターンテーブルシートはフェルトを購入して自作したものが音の切れが良かった。

写真A-1  


ビクター QL-Y44F フルオート クオーツDD レコードプレーヤー 写真A-3  
ジャンク中古で購入したものである。音楽を聴いているうちについ、うたた寝してしまいマニュアルプレーヤーではレコードだけが回っている事がある。そこでオート物がないかと探していたら、リサイクル店で発見、衝動買いしてしまった。ジャンクだが外観も光沢があり良品で上記のカートリッジを取り付け聴いて見ると、分解能も上々でびっくり!今まで出なかった間接音も出ている!クオーツロック回転・オート機能どこも異常なしでこれは掘り出し物GET!まめに探せば良品はあるもの・・・でもどんどん増えていくのが少し困った・・・。
ターンテーブルシートはこれもフェルト材で自作のもの使用。元のゴム製シートより低域など軽い音色ながら帯域は確保している。
マテリアル」驚異、数クラス上のプレーヤーに変身するボールインシュレーターの製作を追加

写真A-3

レコードプレーヤー用カートリッジ:

DENON DL-103 :MCタイプ
放送局で使用され民間でも普及した数十年のロングセラーMCカートリッジ、現在も第一線に活躍 私も25年ほど前から使用して針交換(MCのため現品全交換)3回目、必要な音は確実に出す逸品である。
音質: 一聴では、これと言った特徴が無いような印象だが、奥行感、ハーモニー、バランスの良さなど音楽に引き込まれていく・・滑らかさ・ナチュラル・それこそが奥深い特徴である。
通常MCタイプは昇圧トランスやオペアンプなど半導体ICを使用した昇圧増幅器が必要である。
もちろん現在も・・新品の購入、針交換も管球王室の楽天ショップで可能である!
出力電圧 / 0.3mV 再生周波数 / 20Hz〜45kHz 電気インピーダンス / 40Ω 針先 / 16.5ミクロン丸針  針圧 / 2.5±0.3g コンプライアンス / 5×10-6cm/dyne  質量 /8.5g

      DL-103

DENON DL-103R :MCタイプ
  * DL-103の基本テクノロジーを踏襲。発電コイルに純度99.9999%(6N)の高純度銅線を採用
  * 出力電圧 / 0.25mV  * 再生周波数 / 20Hz〜45kHz * 電気インピーダンス / 14Ω トランス負荷40Ω
  * 針先 / 16.5ミクロン丸針 * 針圧 / 2.5±0.3g * コンプライアンス / 5×10-6cm/dyne * 質量 /8.5g
音質: 特徴は高域に華やかさがあり、全体に音のキレがアップしてインパクトのある現代的な音に進化している。
      DL-103R

  DENON DL-103 DL-103R :MCタイプ
DL-103の後継機がRである。流石に信頼性と高品質は引き継がれている。特徴は高域に華やかさがあり、全体に音のキレがアップしてインパクトのある現代的な音に進化している。元祖103と近代型のRどちらも優劣決め難い。

AU-320   MC用 昇圧トランス  写真B
3/40オーム選択可 2入力選択1出力 これも初代DL-103と同時に購入した。MM等のダイレクトな音に比べてこのトランスを入れると中低域に厚みが増す。
最近はオペアンプなど半導体ICを使用した昇圧増幅器が支流である。
    写真B

M44G シュアー
発売1963年の超ロングセラーモデル DJでのスクラッチにも耐える頑丈な振動系
音質は極めて太い粒状感とメタリックな高域でJAZZファンには根強い人気
■スタイラス形状:0.7ミル円錐形 ■適正針圧:0.75〜1.5g■周波数特性:20〜20000Hz■出力電圧:6.2mV■自重:6.7g
管球王室の楽天ショップでも新品の販売、交換針がサポートされており安心感が持てる。
音質コストパーは200パーセント以上で1本は持っていたいアイテムである。

骨太で豊かな低域、切れの良い中高域でJAZZファン御用達カートリッジ、クラシック系も粒立ちの良さと実体感に脱帽!!


シェル脱着式トーンアームでカートリッジを聴き比べる
数種類のカートリッジを聴き比べする場合、トーンアームがシェル脱着式の場合はワンタッチで交換できるので便利であるが、それでも自重や針圧の違いから、交換するたびにベストのパラメーターを調整しなければならない。そこで自重が最も重いものを基準として、軽い方のカートリッジとシェルの間に薄い鉄板やアルミ板などを挟み込み、自重と針圧の補正分を差し引きして合わせておけば調整なしで交換でき便利である。

真空管アンプ:
LUX SQ-78  プリメインアンプ:  写真C
パネルは独特の楕円ツマミが特徴、数十年前初めて真空管の音を聴き感動したアンプ。 スペック歪率:1% 出力:10W×2(8Ω) 6RA8管球式プリメインアンプ

C

SQ-78シャーシ上内部 写真D-1
銘球2A3の音をMT管に引継いだ6R-A8(左上4本)三極管PPで10W/CH出力イートンと組んでのオケは小音量でも信じがたい広がりとスケール!・・・かなりイートンの個性が影響か?3極管の繊細さとPP(プッシュプル)接続のパワーとが良く融合している。プリ部の球は12AX7(右下3本)をテレフンケン製他のECC83に交換したところ、だいぶ音に艶がでた。丸みを持ったLUX マークのハイインダクタンス出力トランスOY-14-5(右上2個)も逸品。

  D -1
真空管構成
プリアンプ部 12AX7(JJ ECC83)イコライザー1本,トーン2本−>ドライバーNEC 6AN8(2本)−> PP出力管NEC 6RA8(4本)
SQ-78外観  D -2
   D -2

SQ-78シャーシ裏内部 写真E
コンデンサー類は30年以上経過しているので劣化の為、交換する際に可能な限りハイスペックな物にした。フイルム、タンタル、マイカ、NP電解コンデンサー等、使用したところ周特が高域低域ともに伸びて音にキレがでた。特にカップリングコンデンサーは球と同じぐらい音に影響するようだ。

E 

マランツ #7(USA) Marantz 真空管プリアンプ
写真F上部 通称ビューティーと言われる化粧ウッドケースが渋い 

F LUX A3550 パワーアンプ 下部

マランツ#7 (USA)Marantz 真空管プリアンプ  写真G
真空管はシャーシ下部背面に配置される、基板状のラグ端子を介する見事な配線は#1からの伝統である。部品が大きいためか耐久性があり、今でも良いコンディションを維持しているのには関心させられる。配線材は振動防止目的か硬質の銅単線を多用している。このシリーズのプリは独特の構造をしていて部品もブラックビューティー他の逸品を列挙する。回路図は管球資料室参照 なぜかCDの音もこのプリを通すことによりアナログの厚みが出るから不思議だ。

 G写真はシャーシ上面内部
    

マランツ#7 (USA) Marantz 真空管プリアンプ 写真H 
ECC83/12AX7(オリジナルはTFK/SIM)の真空管が6本覗いている。向かって右から入力V1〜出力V6 内部は上面と同じく基板状のラグ端子を介する部品配置である。背面には入出力コネクターがずらりと並んでいる。コネクタ類の突き出しが短いので現代のケーブルとは勘合が甘く苦戦 した。銘機と言われるだけ有り、ソリッドアンプには無い音の深みと華やかさ併せ持っている。管球構成は全ECC83でイコライザーV1V2V3トーンコントロールV4V5ライン出力V6となっている。

Hシャーシ下面内部
   
#7音量ボリューム
寄る年波には勝てず、接触ノイズ症状が多少気になってきた。オリジナル以外の部品変更は本意ではないが実用に耐えなければ意味が無いので産業用のものと交換した。このRVはシャフト径6ミリの互換、ボディー部30ミリ径の大型で高信頼性かつ堅牢である。オリジナルはアーレンブラッドレー24o径だが貴重なビンテージ部品は今後の参考にもなるので大切に保存しておくようにしたい。

  アルプス電気のプロ用可変抵抗器 RV30YG A504 500KΩ 2連A型
 
***ボリューム交換の注意点には主に最大抵抗値のほか最大外形、シャフト径、シャフト長、多重シャフト、1連、2連、特性カーブA、B、C などがあるため、購入時に良く確認すること。**

ボリュームの動作特性について
ボリュームには主にA、B、Cの動作カーブ特性があり、音量調整には小音量を微調整できるlog(対数)カーブを持ったA型を、バランス調整用には左右均等に調整できるように直線増加カーブを持ったB型が使用される。ちなみにC型は平方根カーブで高周波増幅の感度調整用などに使われるためオーディオではほとんど使われない。

ステレオ・コントロール用ボリューム回路
音量調整にはA型が、バランス調整用にはB型が使用される。それぞれ左右CHを一個のツマミで調整できるように2連ボリュームが一般には使用されている。かなり広い調整範囲を持っているので入力のクリップ、ステレオ感などの微妙な調整に便利である。極端なLRのバランスの違いが見られる場合は前後の増幅回路が故障していることが多い。対策としては入力ソースを変えてみる。左右CHを交換してみる等で、原因を絞り込んでいく。

 ステレオ・コントロール回路例


LUX A3550 パワーアンプ(KIT): 出力管6550A  写真I 
GEC6550×4本が対称に並ぶPP動作、ウイリアムソン方式の回路である。輪郭の安定したパワー感ある音質、NFBオン・オフSW切り替え可能試聴を繰り返したところNFBをOFFにした方がトランジェントが良く説得力があるので無帰還に設定している。NFBの功罪については諸説有るところだが、自分としては「過ちをやり直す道」を初めから選ぶようなことは信条にそぐわない。人生一本道の直球(やはり球?)勝負の方が音楽再生には向いていると考えている。しかし特にペントードの場合はNFBをOFFにすると利得が上昇するため過入力になることで歪も増えて高域が暴れ易くなる場合がある。対策としてPA入力レベルを絞りプリアンプ出力を多少上げてみたところ、レベル配分がマッチしたのか濃い音になり伝送系S/Nも向上した。
無帰還での音質:ビーム4極管独特のメリハリが有りジャズ、ポップス系はボーカルともにサクサクとしたキレがあるがTRアンプのようなサ行の強調はない。反面クラシック系は弦楽器などの高域に少し荒さがみえるがピアノの弦の余韻は良い。中低域は強力なパワーと制動力で問題はない。

I管球構成 :ドライバー部 GE 製6CG7/6FQ7 ×4本 ・パワー部 GE製6550 ×4本 PP回路


本体シャーシ裏 ドライバー部 6CG7/6FQ7 双3極管×4本 の回路はプリント基板を使用パワー管6550/KT88-PPの固定バイアス調整用のボリューム抵抗4個が乗っている子基板が見える。ドライブ方式はR/C結合で出力管のバイアス電圧-50Vを1本ごとに微調整する回路となっている。各出力管ソケットには測定用の10オームの抵抗がある。
出力管のスクリーングリッドは抵抗を介して約400Vを加え多極管接続の形態を用いている。このため音のキレは4極ビーム管独特のメリハリがある反面、歪の点ではNFBを多少必要とする。



ボンネット付アンプの姿態、火が入ったアンプは何故か無機質の集合体には思えない。



LUX A3550 の 出力管6550A GE製 を TungSol 6550 に換装
ロシア、リフレクター製のタングソル復刻版で外観はほぼ忠実に復刻、構造は3枚マイカ支持で振動に強くまた高真空を維持するためゲッターを3個飛ばしているのはKT88を含め現行品では希少である。
変更後の音質: 重心が少し下がり中低域に存在感がある、高音の伸びも定位も良い。ST管風の微妙なカーブが気に入っているが、3枚マイカ支持をガラス内壁に密着するのは高い加工精度を要する。固定バイアス回路だがクワッドマッチングを購入したため、ほとんど調整の必要が無かった。真空管の特性カーブのマッチングはPP回路ステレオでの安定動作と音像に大変影響するので大切に考えたい。

エージングについて:タングソル管に交換後、ほぼ1週間ごとに各カソード抵抗両端の電圧を測りプレート損失とバイアスの確認、再調整を数回実施した。AB1級アンプのため各KRの電圧は0.2V(アイドリング電流20mA)に設定したが、高出力での歪を低減したいのであればA級動作に近いアイドリング40mA(プレート電圧400V時16W/1本)位まで許容できる。クワッドマッチング仕様のためか各PPのアイドリング電流のバラつきと変動は殆ど微小であった。音質の変化であるが直後は低域ぎみで少しモヤつき感があったが1ヶ月ほどエージングした後はシャキっとヌケが良い音になりさらに満足の結果となった。この事からも解るように、部品の中でもタマは適度なエージングを行った後、初めて持ち味を発揮するものである。

TungSol 6550 MQ 実装時の姿態


ビーム出力管を3極管接続に変更Ver1
変更前は出力管のスクリーングリッドは抵抗を介してDC約400Vを加えビーム4極管接続の形態を用いている。これを実験的に3接に変更するため6550のソケット4ピンSグリッドに入っている抵抗220オームのリードを外して先端を絶縁する。次に4ピンSグリッドと3ピンのプレートをスズめっき線などで接続する。この際元に戻す事も考慮に入れめっき線端末は曲げる程度にして半田する。接続変更後は次項の固定バイアス調整を再度行い確実にPPバランスをとる。
変更後の音質: 一聴おとなしい音に多接独特のメリハリとの差が感じられたが聞き込むうちに、いやな刺激が全くない自然で深みのある音に次第に引き込まれていく、紛れもなく3極管の音である。GE製6550Aは多接時重心が高めであったが3接では少し重心が下がり音に落ち着きが出た。TS製では3接時高域の線が細くなり低域が強調される感があるため、元の多接回路の音質の方が全体のバランスが良いように思われる。球の違いなどで回路との相性があるが元に戻すのも容易なので多極管接続の音に疑問を抱いたならば3接も一度試してみると良いだろう。

KT-88/6550の3極管接続方法Ver2
前記では3接の方法として4ピンSグリッドと3ピンのプレートを直接ショートすることで簡単に実験することが出来たが、管の内部抵抗が若干低下するためOPトランスとのマッチングも有りもう少しメリハリが望まれる。そこでショートの代わりに元々Sグリッドに入っていた抵抗220オームをSグリッドとプレート間に接続し直した。これでSグリッドに流れる電流も抑えられ内部抵抗が多少上昇するはずである。
変更後の音質: 控えめで抑えられていた本来この管の秘めているパワーが解放され、3極管のメリットである響きの美しさとヌケのよい高音と共にビーム管の立ち上がりの速い中低域が合体した音に暫し聴き入ってしまった。出力トランスとのマッチングも大切であることを実感させられた。変更により固定バイアスの調整でPPアイドリング電流バランスを取り直したことは言うまでも無い。3接の方法としてSG−P間の抵抗値を変えて接続を試してみるとベストマッチの音が期待できる。

多極管の3極管接続回路例
   抵抗を介しSグリッド(G2)とプレート(P)を接続、又は直接つなぐ事もある。

ビーム出力管をUL接続に変更
6550の3極管接続では低歪でゆったりとした音質を堪能したが、この機種のOPT1次側を見るとUL接続可能な端子が見える。巻き線の抵抗値を測定するとPP用出力トランスの1次プレート側端子とB電源中点に対し約50%でバランスが取れているので下図のようにこの端子と対応出力管の(G2)Sグリッドとを接続した。最終的にはG2の負担を軽くするため直結はせず3接時と同様中間に抵抗220オームを加える事とした。
変更後の音質:3極管接続はゆったりとした音質でどちらかといえばクラシック向きであったが、UL接続に変更の音質は多極管接続の利点であるメリハリがあり立ち上がりの速い中低域が復活、高域は瑞々しく澄渡るようになった。これでジャズ、ポップス系も気持ち良く聴けるようになり、かなり理想の音に接近してきたと思われる。多くの多極出力管の名機が効率と音質の両立できるこの回路方式を採って来たのも納得できる。
尚、NFBについてだがUL接続でのON/OFF試聴ではON時の方がダイナミック感と高域の粒立ちのよさが見られた。やはり多極接続回路を採るさいには最小限のNFB補正はやむをえないと考える。

UL接続回路例
  PP多極出力管のG2(Sグリッド)と出力トランスのUL用タップを配線する。

A3550のカップリングコンデンサーAMCO474フイルムコンに交換
出力管6550と前段ドライバーを結合している4個のコンデンサーはオリジナルも容量0.22μFのフイルム型であるが「管球工房」ページのJB300Bで試行を紹介したAMCO474(630V、0.47μF)の成果にこちらも便乗して見ようと同パーツをさらに入手したので交換を行ってみた。
試聴音質: 今回はフイルム型同士の比較なのでJB300B交換時のような明確な違いは一聴しては感じられなかったが微妙な所を聴き込んでいくとAMCOフイルムコンは電送歪の発生を極力減少させる構造を採用したとの定評のようにバイオリン等の弦の響きが美しく柔らかい中に艶と余韻が感じられる。

PP出力段カップリングコンデンサーをAMCO474フイルムコン(青色角型の4個)に交換した形態
出力管ソケット周りは3接用の配線状態 右の赤色フイルムコン0.33UはバイアスC電源にノイズ除去用として追加した。


固定バイアス回路の調整方法
A3550の場合各PPの出力管一本ごとに固定バイアス調整用の半固定ボリュームが設けられているので初期設定として各ボリュームを中央付近に回しておいてから電源を入れPP各真空管の5ピン、グリッドが約−60Vになるよう設定。まず電源投入後5分ほどしてから無入力信号状態でカソード8ピンとアース間に入っている10オームの抵抗両端の電圧を計り、KT88/6550でAB1級増幅の場合全ての管が同じ電圧(例:0.3ボルト)になるように対応する半固定ボリュームを調整する。PPの対になる管を交互に2,3回繰り返し合わせこむ。これで一本当り30mAをアイドリング電流としたので3ピンのプレート電圧400Vとすれば400×0.03=12W PPで24Wとなる。この時5ピンのグリッドバイアス電圧は−50V付近に調整されているはずである。さらに新管の場合は数時間エージングした後、再度計測して変化していたら再調整で合わせこむことで安定した音質と定位が得られるものと思う。これだけで見違えるような音になった体験もある。また試行として全管を同じく電流約20%以内の範囲で増減してみるのも良い。固定バイアスで最も注意することは規格を参照してどんな場合もプレート損失を超えない内輪の設定とすることである。しかしくれぐれも感電事故には注意したい。
オートバイアスの設定についてはマテリアルを参照

下図PP固定バイアス回路例では2本の球のグリッドに共有のバイアス電圧−40V付近が強制的に加えられる。PP回路2本の球のカソードはGNDに直接接続するか共有IP電流測定用の10オーム程度の抵抗を介す。この場合は2本分のプレート電流が流れるので測定値の1/2として一本分を計算する。従ってPPバランスを一個のボリュームで調整するため各球の特性がマッチングされていることが必要である。出力管一本ごとにバイアスを調整できるほうが有利なことは言うまでもないが静特性カーブの一点を合わせているに過ぎないので、ステレオバランスも考慮するとPPはクワッド、シングル回路でもL/RのCHに信頼できるメーカでマッチングされたペアーチューブを選びたい。

固定バイアス回路例
   
TungSol 6550 画像提供 boiaudioworks

A3550ドライブ段のプレート負荷抵抗をリケノームに変更
元のドライブ段6CG7/6FQ7双3極管用プレート負荷抵抗は金属皮膜の22K 1/2W タイプで抵抗誤差も多く熱容量も小さめだったので、リケノ−ム 非磁性体 RMG 2W 1%  金足 22Kオ−ムに変更した。PPなので計4本使
試聴音質: PP−LR共バランスと特性が揃ったためか、定位とステレオ分離が向上し全体に音の粒立ちが良い。オッシロスコープ観測でも各出力管へのドライブ波形の一致と安定が確認できる。

 カラーコード大型抵抗となったので基板裏に取り付けとした。

電源部平滑用の電解コンデンサーをフイルムコンデンサーに変身?
究極の音質コストパーを紹介。電源用平滑コンデンサーを電解コンから同等容量のフイルムコンに交換すると音質の向上が図られる事は定評となっているが、50μF/500V以上の容量を持つフイルムコンは高価で躊躇してしまうところである。そこでカップリングコンの交換時に余っていた0.15μF/600Vほどのフイルムコンを電源用平滑電解コンデンサーに並列に取り付けてみた。
試聴音質:高域の暴れや歪感が解消され中低域のもやつきや延長感がなくなりストレートに音楽が聴けるようになった。廃物利用とはいえ確実に音質の向上が見られるので部品手持ちのある場合など行ってみる価値は十分あるだろう。

  電源平滑電解コンデンサーにフイルムコン(灰色)4個を並列に取り付けた。
 これだけで瑞々しい音質となる。


300B-SパワーアンプKITを製作。 写真K ***管球工房ページに製作記事を掲載***
サンバレー JB300B パワーアンプ 5AR4*1 12AX7パラ*2 EL84三結*2 出力管300B*2

写真K   完成した直後の300B-KIT・・いざ試聴!・・

300Bシングルアンプ
3極管の王者と呼ばれる球、高域の繊細さと中低域の抜けのよさとパワー感を併せ持つ三ツ星KITである。何故S増幅(シングル)にこだわったのか?回路をご覧あれ、電力増幅を1本の球で行うシンプルさ、直熱管の素直な特性と混ざり気のない、いわゆる抜けの良い音、しかも球の個性は良く表現される点。PP増幅のアンバランスにおけるクロストーク、ゼロクロス歪が発生しないため小出力時も美音である点。オーディオ用シングル増幅は当然A級増幅になる。小出力ではあるが効率の良いスピーカーを使用して濃い音=凝縮された音を体験すれば、シングルアンプは王道と主張する声が多いのも納得できる。

古いST管は理想のプロポーション



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