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管球王室 更新履歴
自作キット奮闘記

JB300Bキットの画像は部分的に説明用としてカタログよりのもので、著作権は発売元にあります。
末尾にキット音質改良の「試行錯誤日誌」を掲載しています。
  

300Bシングルアンプ
自作してみようと思いたったが、部品レベルから集めるのもなんだか大変になり、サンバレー JB300B (発売元: ザ・キット屋)ハイコストパーのキットを発注、久々に管球を組んで見た。この価格で念願の300Bシングルアンプが組めるのはうれしいことである。なぜ「シングル」なのか?は 王道室 もご覧頂きたい。では逸る気持ちを抑えて慎重に作業に取り掛かる事としよう。これから管球アンプを組んでみようと考えているツワモノ諸氏に少しでも参考になったら幸いである。

キットの内容
パワーアンプ 整流管:5AR4 入力段:12AX7(パラ接)*2 ドライバー:EL84(3結)*2 出力管:300B*2真空管付KIT 300B(サンバレープレミアムセレクト) EL84(JJ製) 他(ゴールド・ドラゴン製)最大出力8W+8W *ステレオ DF: 3NFB: 6dB 出力管ヒ−ターは直流点火でハムノイズを低減。全て手配線の中上級向けのキットであるが、シングルアンプで部品点数と調整箇所も少なく、マニュアルを熟読し、はんだ付けの腕を磨けば初心者からでも可能。回路図は管球資料室を参照。

1. 準備 
キットが届いた。梱包は丁寧になされていて安心感がある。



マニュアルや説明は、わかり易く書かれているので手順に沿って部品を確認。完全自作のように接続図を見て部品を集め組立て配線するのから比べると天国である。マニュアルには部品リスト、回路図、実体配線図、組立て手順、が載せられている。

取り揃えておくもの

@工具 
(ニッパー、ラジオペンチ、ワイヤーストリッパー、ドライバーセット&ボックスレンチ、ヘックスレンチ、ピンセット、紙やすり、ハンダゴテ、作業手袋)など大小用意したほうがよい。(半田作業の玄人より・・)

A副資材 
結束バンド(付属品より長い物)、シリコンゴム系接着材、スズメッキ単線1φ位少々・・あると便利 フラックス入り糸半田=最近は鉛フリー半田も出ているが、普通の鉛入り半田が仕上がりが良い。

B測定器 
マルチテスター(1000V位の高電圧と抵抗値が測れる物、感電防止の手袋使用する)
レベルメーター付のレコーダーデッキ等(入出力レベルとバランス確認用)・・あると便利 
オーディオチェック用のCD、レコード等の基準音源
耳測定器(生演奏を聴くなど王であるオーディエンス自身が心地よいと思う基準を鍛える)仕事で使用している様なオシロスコープ・スペクトラム、オーディオアナライザーなどで測定できれば早く確実だが測定値など考えず、ここはアマチュア的直感を頼りに勝負しょう。しかしマテリアルは良いものがあるに越したことはない。

2.組立て配線 -@ 
シャーシにソケットとトランス類を方向確認して取り付ける。塗装シャーシなのでアースポイントは指示通り忘れずに塗装を剥がしておく。300Bソケットはタイト製で絶縁・耐熱性が高いが割らないように注意して取り付ける。

  

マニュアルにはないがパイロットランプ(整流管ヒーターに接続)には高圧が架かるので空ナット等でシャーシから浮かせる。それでも不安な方は6.3Vのヒーターに接続する。私は後で発光ダイオード+2KΩ 1/2W に換えた。トランス、チョークコイル類とシールドケースは重厚な作りである。OPTは1次2次側ともインピーダンスセレクトできるユニバーサルタイプである。これは後で他の力管とスピーカーを選択できることを意味するので末永く活用できる。ケースを被せる前に1次側は高圧が掛かるため、誤配線と端末処理のチェック、1,2次とも各巻線極性を確認する。(間違えると音は出ても後で悩む事になる!)NFBの配線も忘れずに引き出しておくこと。塗装のキズ防止のため入っていた紙箱などでカバーしておく。

    
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3.組立て配線 -A 
ヒーター、アース、高圧V、ソケット内配線など下側になるものから配線をする。半田付けのトラブルをなくすため、配線端末は基本的に端子に確実に絡げて半田を行う。絡げない「べた付け」は芋半田(引っ張ると抜ける)となりやすく信頼性に欠ける。複数の配線が端子に入るものは絡げてだけおいて、忘れずに後でまとめて半田する。線材の被覆を剥くときは芯線にキズがつかないようにして、端末処理は軽く撚ると端子に通しやすい。正しい半田付けのコツ 詳しくは マテリアルページ参照 端子の大きさによりコテの大小を選びコテの温度は可変できるものが良いが固定であれば半田箇所に当ててから数秒で半田が溶けるのを目安としてW数を選ぶこと。温度が低いとボテボテになり「天ぷら半田」(線材と馴染まない)になる。半田が劣化して白くなるようでは温度が高すぎるかコテを当てる時間が長すぎる。コテ先は水を含ませたスポンジなどに擦り、そのつど酸化した半田を除去する。
@半田箇所へコテを数秒あて予熱する。 
Aそのままの状態で糸半田を半田箇所へあてて、馴染むように溶かしこむ。
B端子と線材へ半田が吸い込まれるように広がり、ツヤがあり線材の周りにフィレット(富士山形)が形成されること、線材の形が確認できる程度の時間と半田量で良い。
  


4.組立て配線 -B 
抵抗など上になる部品を取り付け後、枠を載せ前後パネルの端子、電源SW、音量RVを配線する。

真空管をオブジェとして撮影・造形美としてもそれぞれ個性と魅力のある存在だ。
撮影用データ : デジカメ1眼レフ PENTAX K10D
TAMRON AF28-75 F2.8 XR Di  絞り開放 スポット照明+自然間接光 三脚使用

ここで少し中休みST管でも眺め冷静に作業状況をチェックして作業工程の落ちがないか?を確認しょう。意外に先にやっておくべきこと(部品の下側になって見えなくなる配線など)を忘れているものだ。
ノイズを少なく、スピードの出る音にする:S/Nとはシグナル(S)をノイズ(N)で割った比率で、ノイズが小さいほど原音が際立つ。要は、同じ増幅度のアンプでもノイズが少ないと高感度に値する。
@ ヒータ系はツイスト配線とし信号系を出来るだけ離す、交差する場合は各配線を直角にする。
A 信号系アース配線もリターンの信号線と考えて不用意に電源系に近づけないこと。
B 高圧電源、平滑コンデンサーのアース側は電源トランスに最短で戻してやること。
C なるべく各CH、各段一点アースとしてシャーシに余計な電流は流さないこと。
注意!美観中心の長い引き回し配線や不用意な結束をしない、(特にヒーター配線と信号配線など)



5.組立配線検査
部品や配線を半田付けした箇所をスポットライトと拡大鏡を使い見る角度を変えて入念に検査する。裏側や部品の陰で見えにくい箇所はデンタルミラーで確認し不審な箇所はピンセットなどで配線を動かして確認、部品の取り付け間違いが無いか、誤配線が無いか配線図と比べてチェックする。特に電源部の電解コンデンサー、ヒーター電源整流ダイオードの極性には注意。テスターのオームレンジで各高圧電源がアース落ちしていないか絶縁チェックをする。

6.調整 -@ 
@.配線電解コンの極性半田付けチェック後、真空管なしで火を入れ、パワートランスのAC出力電圧を確認
A整流管を除く球を挿しヒーター点灯と電圧を確認、異音、異臭、発煙に注意しすぐ電源を切れる用意。通常では電源の瞬断はヒューズを飛ばす場合があるのと球を劣化させるので行わないこと。
B整流管を挿し各高圧DCを確認、ヒューズが飛ばなければ、まずは成功!
くどいようだが作業には感電防止球に指紋が着かないようにゴム引き手袋使用が必須である!また電圧測定時は直熱ヒーター保護のため本などを管以上の高さに積み上げ、通電時は管内フィラメントが垂直になるよう本体を上下反転して行う。

7.調整 -A 
音量RVを絞りスピーカー(ダミーがあればベスト)接続、ハム音が少し出ていればOK。ハムバランサーRVを回しハム音が最少になるように調整する。ハム音が調整しても小さくならないときは、配線確認と周りのアースが確実か確認する。ライン入力を少しいれ音量RVを少しずつ上げていき音が出たら大成功!!

  

電源をコンセントから抜き、高圧回路を放電してから、図のように配線を結束して体裁を整える。電解C、カップリングCなど宙に浮き振動しやすい部品は固定する。結束バンドかシリコンゴム接着系。銘板やRVつまみなど付け外観を整える。底板に足を付け、本体に取り付けて完成。

完成したJB300Bの姿態

撮影データ :デジカメ1眼レフ PENTAX K10D
TAMRON AF28-75 F2.8 XR Di  スポット照明 三脚使用
整流管:5AR4 入力段:12AX7(パラ接)*2 ドライバー:EL84(3結)*2 出力管:300B*2

8.調整 -B
いきなりフルパワーにしないで小音量をいれ数時間慣らし運転をするとスピードとしなやかさがUPしてくる。エージングは場合によって数十時間かかるので根気よく聞き込み、じゅうぶんエージングしょう。 電源投入時は予熱時間を1分以上とり、電源の瞬断はヒューズを飛ばす場合があるのと球を劣化させるので行わないこと。動作点が変化して大電流が流れるため電源の再投入は数分おいてから行う。

9.細かな調整
聴き込むうちに左右のバランスなど違和感があればLとRの球を交互に一段ずつ入れ替えて見る。ハムバランスなども再調整する。ジャストマッチするところがあるはずだが、これで直らなければ部品と音量ボリューム、パラ接続、NFBなどの配線を再チェックする。

今後の改良
管球アンプの特権であるタマの換装をして楽しみたいと思っている。300Bの互換球は元祖WE300Bも含め現在15種類ほどある。整流管の5AR4は5U4G274BなどGTソケットのまま300Bと似合いのダルマ型になる。もちろんUX4ソケットに変更すれば5Z3などの古典管タイプも使える。カップリングコンデンサーもAMCO(630V、0.1μ)などのフイルムコンに交換するとF特がさらに良くなる。またその際は追加の記事を掲載したいと思う。

試聴スピーカー
スピーカーはタンノイのSRM(大型の方)とイートン(小型)に繋いで見ましたが300Bと言えどもシングル出力と由う事もあり、効率の良いSRMにて行った。タンノイ社のスピーカーは同軸2ウエイユニットの長所である点音源に近い定位感と空間表現が特徴 なぜツイーターとウーハーが同軸なら良いかは、スピーカーを自作した方なら理解していただけるかと思うが、両者を近づけるほど音の定位に存在感がでてくる。 これはタイムドメインから見ると点音源に近く(下記)現在では最も自然な方法だからである。(実際には音は一点から立体的に広がるがユニットバッフル面は平面のため半点音源?)同軸2ウェイスピーカーユニットの構造は王道参照

 
試聴日誌
さて楽しみの試聴である。今までPPアンプしかなかったのでシングルはパワー不足が心配だったが、JB300Bは数値を超えた聴感パワーが有りさらに期待通り直熱3極管の特徴である高域の繊細で抜けの良さと中低域の厚みを併せ持つ三ツ星KITであった。

試聴用機器  カートリッジ:MCタイプ  DENON DL-103 +昇圧トランス:AU-320 
         真空管プリアンプ: マランツ #7(USA)
         スピーカー: タンノイ スーパーレッドモニター(SRM)
試聴レコード バッハ  バイオリン協奏曲1,2番  チェンバロ協奏曲1,5番
         チャイコフスキー、ラフマニノフの ピアノ協奏曲1、2
         ザ マイルスデイビス セクステット(JAZZ)  オリビアニュートンジョン(ボーカル)他

1.シングルの利点、PPで起こるクロストーク歪がないため弱音から滑らかで音のつながりが良い。
2.ブーミーでなく中低音にソフトな豊かさの中に弾力をもっているまた弦楽器の高域のハーモニーも美しい。
3.ボーカルやソロ楽器などは息づかいまで見えるようだが、サ行のきつさは無い。
4.オーケストラの迫力はPPに譲るも数値を超えた聴感パワーが有り音の粒立ちの良さと包み込まれるような一体感がある。
5.総評として、これまでオケ中心であったがボーカル、JAZZ、ポップス、などもハイエンドは確保されている
  ものの一切耳障りな音がせず、いつまででも楽しく聴けるようになった。

試行錯誤日誌

S1 左右のバランスなど違和感について
暫く聴き込むうちに耳測定器が少し冷却し感度アップしてきたのか?左右の位相バランス(音源の定位が薄く音にまとまりがない)に疑問感じてきた。試行錯誤して調べると、入力初段NFBが掛かっている12AX7(チャイナ製)が怪しいと考えた・・・(左右タマを入換えたがバランスが変化するのみだったので注目した)そこでプリアンプ予備のECC83(シーメンス)に換えたところ、定位が良くなり音に佇まいが出てきた。どうも入力初段、内部パラ接続している左と右個々のNFB感度又は位相特性のバラつきが原因だったようだ。

S2 チャイナ製はバラつきが大きい?
双3極管を内部一対で左右CHに使用するような回路であれば問題ないと思われる。チャイナ製はバラつきが大きいと聞いていたが、使用回路によってはメジャーの物が良いと感じた。KIT付属の球はとりあえず、もしもの事を考えて動作確認用と割り切ればコストパーはOKです。KIT自作に自信のある方は管球なしキットとし、球はスロバキア(JJ)や余裕があれば300Bは本物WEなどを別に購入するのを推奨する。

S3 球のエージング不足
12AX7(チャイナ製)のその後について、しばらくプリアンプの問題ない回路に使用していたが、それでもと思い元のJB300Bの入力初段に戻したところだいぶ音の位相差と定位が良くなっていた。まだエージングが不足していた音で評価してしまったようだ。この球は現代的な周特の広さとスピードのある音がするので現在はこのまま使っている。付属300Bもエージングしたところ安定した良い音がしている。まずは安心という事でしばらくは聴き込んでみたい。

S4 JJ社製真空管300Bに挿し替えた
JB300Bを製作してから早くも3ヶ月近くなり、付属の300Bも益々クリアーな音になってたが人気のJJ社製真空管300Bマッチドペアーが入手できたので早速、差し替えて見た。ベースは陶器製で、すべてに作りもしっかりとしていてガラスは工芸品のように綺麗にみえる。KIT付属のものより一回り大きく電極も太くて頑丈そうである。この球はメーカーによりマッチングされている2本が1セットの仕様で一本ごとに手書きの試験データーが添付されて信頼感がある。音はまだエージング中だが、さすがヨーロッパ伝統の濃密な響きに驚きの結果を堪能している。さてこれからもっと音がよくなっていくと思われるが・・・球を楽しむにはあせりは禁物、じっくり聴きこみ評価したい。

JJ社製真空管300Bマッチドペアーについて
入手先はBOI(USA)個人輸入となったが関税は掛からないため、国際郵便送料と国内消費税(受取時払)のみで、円高との相乗効果によりこの時点では最も割安に購入できた。
BOI(日本語に対応HP) http://www.boiaudioworks.com/ パワー管マッチングにはこだわっており2本以上でも5%以内に厳選しているようで、確かに音の定位も良い。しかも願客の使用機種と回路を参考に、よりマッチしたセレクトをしてくれるようである。JJ製300B (MP)派手さは無いが全域において洗練された音質である。高域は濃密かつ低中域に立体的な厚みを表現する。製造しているチェコ、スロバキア地方は楽器やガラス工芸で有名な工房が多い所以からか、手に取って見ると良い球はガラスも違うように感じる。確かに材質の響きが重要だという点を見れば管の全ての部品は楽器だといえなくも無い・・・。
外箱とMP管本体、手書き試験データーが添付される。300Bの中で高音質コストパフォーマンスは良い。
    
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S5 JJ社製真空管300BとKIT付属300B(サンバレープレミアムセレクト)の聴き比べ
KIT付属300B(サンバレープレミアムセレクト)は形状サイズともオリジナルのWE300Bにかなり近い、音質は高域に伸びがあるため、きつめのソースもサラリと流しいやなピークは感じない。低域も抜けがよくチェンバロやジャズのベース、ドラムは快適。全体的には信管のように重心が高く、高域は細身で分散傾向に感じられる。JJ社製真空管300Bは高域は伸びの中にも音に芯があり濃密さが感じられる。低域は伸びがあるためオーケストラでは量感と柔らかさの表現が良く出る。ジャズのアタック音は少し角がとれた感じがした。全体的に少し重心が低く、あえて分類すればヨーロッパ系”2A3”の表現を太めにしてパワーを加えた感じがある。両者いずれも単独で聴いたのであれば、それぞれ満足の行くハイレベルな個性であり、良く聴くソースと好みの違いで選択する程度の微妙な、しかし大切な違いであるように思う。

S6 LUX A3550 ビーム出力管 GE6550A-PP VS JB300Bの聴き比べ
王道室で紹介している ビーム管6550A/KT88のPP使用のアンプA3550(A3とする)との聴き比べをしてみた。試聴機器は上記プリアンプまでは共通でJB300B(JBとする)パワーアンプだけを入れ替えるという比較である。さすがにA3はPPだけ有り余裕のパワーでジャズのベースドラムの低音やオケのグランカッサなどを難なくこなす。一方JBも衝撃的な低音には無理があるものの、素直に広がって行くビロードのような包容力がある。高域音はJBの直熱管+シングルが定評どうり滑らかな刺激の少ないシルクの手触りで好感がある。特にクラシックの弦楽器などでは違いが現れるようだ。A3の高域はJBに比べ手触りは粗いものの上質の麻ジャケットをざっくり着こなしたような爽快感がある。A3はジャズドラム、ピアノのキレの良さや管楽器の高音噴出しのエッジにパワーがある。ボーカルもクラシックではやはりJBのほうが高域の抜けのよさとピュアな存在感がある。A3はジャズボーカルの中低域の押し出しと気風のよさが心地よい。総括すると中高域の質感ではJB300Bがピュアでかつ刺激的で無く、心を癒してくれるアンプである。対してジャズ、ロック系の刺激を求めたい場合は中低域の物量パワーでLUXアンプA3550を選びたい。

S7 整流管を5U4G(Sov)に挿し換えた 
KITに付属していた傍熱型の整流管5AR4(GD)を 直熱型の5U4G(Sov)に挿し換えてみた。
GTソケットピン配列も互換。出力電圧は若干低下するので一抹の不安があったが、ソフトな立ち上がりで実用上全く問題なく動作している。肝心な音質は換えてすぐに違いが解るほど、中高域は透明感が、中低域は柔らかさが増し、バイオリンは弦の艶と躍動感が伝わり、ピアノの響きと余韻が感動を呼ぶ。シリコンダイオード整流から球ならいざ知らず、整流管の換装でこんなに音の違いがあるとは驚きの結果であった。昔の達人は出力管によって整流管の使い分けをしていたという話も信じられる。
試聴LP: チャイコフスキー 「ピアノ協奏曲 第1番」  イタリアバロック・バイオリン 「ラフォリア」

WE300Bオリジナルの古典アンプには、やはり直熱管のWE274が整流管として使用されていた。
なぜ球には球の整流管が良いのか?推測になるが半導体ダイオード整流は波高値で整流するためレスポンスが速い、すなわち短時間で大電流が流れるため電源周波数の2倍に対する高調波が出やすいのに対し、球は敷居値が曖昧な実効値整流を行う。このため高調波が出にくく、一見欠点のように思えるレスポンスの遅さも出力管にとってはパワーTRのように急激な歪には至らない、むしろソフトディストーションとなり自然と圧縮効果につながるのではと考える。非力な事が最大の利点になるなど真空管の最盛期には夢にも思わなかったであろう。外観もやはり300Bにはダルマ型整流管がよく似合う。

JJ社製 300B 並びに5U4G(SOV)に換装後の形態

撮影データ :デジカメ1眼レフ PENTAX K10D
PENTAX AF28-80 F5.6  自然間接光 三脚使用

S8 カップリングコンデンサーAMCO474フイルムコンに交換した。
電送歪の発生を極力減少させる構造を採用したのが特徴(単価:約 500円ほど)フイルムコンはスプラーグのオレンジドロップなど以前からF特が良い、漏れ電流が無く長期に安定していると定評があったが、このAMCO474はさらに低歪性能が向上している。KIT標準部品は東一オイルペ−パ−コン 0.1μF/630VDC ビタミンQ(単価:約 600円ほど)を前段も含め4個使用していたので全てAMCO474(630V、0.47μF)に交換した。試聴音質は交換後、一聴し全く別のアンプを聴いたようなショックを感じた。フイルムコンの定評のように特にバイオリン等の弦の余韻が金属音にならず材質まで感じられる。低音楽器もエンドまで素直に伸びてたおやかにうねる。中域から高域に掛けてバイオリン独特の裏返すような音色も完璧にトレースする。また確かに低歪やF特が良いためか音の抜けや立体感が向上している。標準部品のオイルペ−パ−コンも定評のある良い物だがフイルムコンに換えて、また々「目から鱗」の体験をした。今まで音質向上の試行を行ってきた中でコストパフォーマンスが一番良く、まずはお勧めの方法だと思う。
試聴LP: バイオリン名曲集「G線上のアリア、ラ・カンハネラ、チゴイネルワイゼン他」 ビクター社

  AMCO474シリーズ  高性能であるが価格はそれほど高くない

この部品は外形が大きめなのと、OFC金メッキリード線を採用しているが線長が短かいため、他とショートしないようリードに絶縁チューブを被せて最短のレイアウトで配線する。

カップリングコンをAMCO474(630V、0.47μF)に4個共交換後のドライブ回路周辺の配線形態。


S9 12AX7(ECC83)GD製をJJ製ECC83S-MPに差換えた。
JJ300Bを入手したBOIよりJJ製ECC83Sマッチドペアー(MP)を購入したので差換えてみた。GD製12AX7も前記したようにエージングを十分行った後は定位音質ともに安定しエッジの効いた現代的な音である。対するJJ製は高域が伸びてはいるものの押し付ける様なところは無く、中低域ともに実在感があるヨーロッパ調の熟成した音質である。MP仕様のためかエージングはほとんど行わずに試聴に入ったが定位など音質に問題は無かった。老婆心ながら、MPと単品の価格の差は僅かなので実装後の不具合を考えると迷わずMPを購入することを推奨。試行錯誤の結果まだ道のりは遠いが音は一歩づつ理想に近くなったように思う。

JJ製ECC83S-MP 整流管を除く球をJJ製で統一した形態。



S10 NFB回路にON/OFFスイッチを追加して音質を比較
NFBオン・オフSWを切り替えて試聴を繰り返したところNFBをOFFにした方がトランジェントが良く説得力がある。NFBをOFFにすると利得を抑えていた負帰還が無くなるため、NFB量=6dBならば同量の増幅度が上がり、飽和や歪が発生しやすくなる。逆に言うとNFBを掛けるには前段の入力感度を上げておく必要がある。当機は電圧増幅部と出力管ともに3極管を使用しているため、OFFでは多少の荒削りな面を垣間見せるが、歪や高域の暴れは多極管ほど急激に発生せずに済んでいるようである。PA入力レベルボリュームを若干絞りレベル配分がマッチしたのか立ち上がりの良い音になり伝送系S/Nも向上したので現状はOFFの無帰還に設定して聴いている。ONに設定すると高低域の伸びと歪が改善され透明感や滑らかさが表現される。このへんは個人の好みとソースのジャンルにより選択するレベルである。実際のSWの位置は配線加工の都合もあり下図120K帰還抵抗の右OPT側に追加した。NFBの有無と音質の違いを一度は試聴してみるのも有効な手段である。

JB300B前段部負帰還SW回路(部分)
 回路図は片CHのみ表示。
参考画像提供 サンバレー(発売元:ザ・キット屋)

JB300B 電圧増幅部NFB回路のON/OFFスイッチを追加 2回路2接点でLR同時切り替えを行う。SWを単線でラグ板に配線し固定した。底板を外した状態で操作する。一時的な実験であればこの部分の配線を外して端末を絶縁しておいてもNFB無しに出来る。

 


S11 電源回路にLRアイソレーションCRを追加して音質を改善
JB300Bの電源はLR共有回路であるため、セパレートアンプのようにCH独立電源を持った回路と比較すると、クロストーク歪みやレギュレーションノイズなどでステレオ分離や音質に不利な影響がある事は否めない。
そんな折、当HPに有志よりメールで電源回路LR分配にアイソレーション抵抗とCを追加して音質を改善できる」との提言をいただいたので、早速に改造実験を行ってみた。
まずB1チョークコイル出力から電解コンを経由して左右OPトランスに行く配線を切断して、各CHに30〜100オーム10W程度のRL同値抵抗をそれぞれ直列に追加し出力側に0.1μ500VのCをアース間に追加する。
B2も同様に100Ω3W程度のRL同値抵抗をそれぞれ直列に追加し出力側に0.1μ500VのCをアース間に追加する。
さらにB3も同様に100Ω1/2W程度RL同値抵抗をそれぞれ直列に追加し出力側に0.1μ400VのCをアース間に追加する。
要はLR各アンプステージへのB電源にデカップリングフィルターを組み込み、相互に影響を及ぼさない様にする改造である。
追加する抵抗値にもよるが、300Bへの供給電圧は低下するので、最大出力も若干低下する。
以前に直熱整流管5U4G(SOV)に換装していたが、一応オリジナルの房熱整流管5AR4に戻して供給電圧を上げてみた。

電源部改造 接続回路図 


実体写真:改造図面では少ない部品だが、部品形状によっては実体スペースと中継部品が必要であった。
抵抗6個、コンデンサー6個をラグ端子等を用いて配線し、各増幅段LRに分離供給した。

    

電源部改造: 図赤下線で示す100Ω程度の抵抗を左右B1・B2・B3電圧供給線にそれぞれ直列になるように追加接続する。
追加抵抗の出力側とアース間に0.1μ500V程度デ・カップリング用Cをそれぞれ追加する
部品の数値はLR同値、Wや耐圧は余裕があるものでLRが揃っていれば、各ステージで多少変更しても手持ちの部品を活用できるだろう。

音質:今まで中央により気味でぼやけていた音像の定位が良くなり、ステレオ分離が向上した。
ポップス、ロック、など刺激を求めると少し音は硬くなるが整流管は5AR4/GZ34等の出力電圧が高めの球が良いだろう。
また低能率スピーカを鳴らしている場合も同様である。当然だがNFBはOFFの状態で比較したが好みによりONしてみるのも良いだろう。
パワー重視の諸氏はこのような改造に関心は無いと思うが、最大出力は若干低下するので了承されたい。

直熱整流管5U4G(GTソケット互換)と交換すると300BへのB電圧はまた少し低下する。
しかし定位感は良好の状態で保持され通常使用では電圧低下の影響は皆無であった。
音質:直熱管の特徴であるソフトで立ち上がりが早く、羽のような軽さとなる癒し系の音質である。
私的にはSRMスピーカは能率も高めであるのと小中音量でジャズ、クラシック等を良く聴くので、この5U4Gの選択としている。

S11-A 電源回路LRアイソレーション抵抗をトロイダルコイルに変更でさらに音質を改善
実体配線図:左右B1・B2直列に挿入した100Ωの抵抗を小型トロイダルコイルに変更した。



特に初段をトロイダルコイルにすると効果が際立つようだ。
高域の美しさは素直に体に溶け込んで、低域は無限の大地に拡散して行く様だ。

S12 入力部の周波数特性を向上してレスポンス改善
下図赤丸で示す100μF 25Vのデカップリング用Cを初段12AX7のカソード−GND間にLRそれぞれ追加して周波数特性の改善をする
Cは好みの音質になるよう100μ位までの容量を選択して調整する。Cが小さいと高域が強調され、大きくすると低域が強調される。
現在は100μ程の電解コンデンサーに変えている。入力部は音質に影響するので、出来るだけ良質な部品を推奨する。
必然的にNFBは無効となるので、NFBスイッチはOFF側にしておく事とする。

NFB回路の改良: 上記の状態でNFBを有効にするには1Kのカソード抵抗と並列Cの下GND間に100Ωを直列に追加する。
改造により帰還量が不足するため、OPトランスNFからの減衰用抵抗を120Kから60KΩに変更したが、そのままでも良いだろう。
追加した100Ω上の中点にNFB配線を加えることで有効に出来る。帰還量は減衰用抵抗を好みの値に調整する。

入力部の改造回路図:下図の追加コンデンサーには良質でLR共に特性の揃った部品を推奨する。
10μF25V程度のタンタルコンデンサーを下図100μF25Vに並列追加するとさらに高域特性が向上するだろう。

  
参考画像提供 サンバレー(発売元:ザ・キット屋)

入力部12AX7カソードに抵抗とコンデンサーを追加した効果。

音質:入力部における周波数特性改善の効果かメリハリが良くなり残響音や、楽器の摩擦音ボーカルの呼吸音などが浮上してきた。
また低域のキレが良くなり躍動感があるベースが聴ける。特にジャズライヴ演奏などの熱気や雰囲気が良く伝わって来るようになった。

評価:少ない部品で効果はかなりあるので改造してみる価値は十分にあると考える。

S13 JB-300B入力部12AX7/ECC83のメーカー挿し換え音質比較
@シーメンスECC83(SIM): 全体にしっとりとした中に抑えられたきらめき感がある品のある音で派手さは感じられない。ローノイズで繊細な音を聞き分けたい、どちらかといえばクラシック向き、弦楽器などは最高。 ☆☆☆☆
AテレフンケンECC83(TFK): 全体にキレがあり高域に華やかさが多い、元気がある音で管楽器は最高、ドイツ音楽ビッグバンドジャズ向きではあるが、クラシックオーケストラも迫力の表現である。さすがに分解能も良好、稀少品で高価になってしまった。 ☆☆☆☆☆
BゴールデンドラゴンECC83(GD): パワー感があり音のキレも良好、ポップスやボーカル向きか、実際の増幅度も高めでプリの出力段などの負荷に強いが個体により多少ゲインの差や、きめ細かさにばらつきが出る物もある。 ☆☆☆
CゴールデンドラゴンECC83T:プレミアムTセレクトである。低域から高域まで伸びが良く、きめ細やかな音質と安定感がある。☆☆☆☆
DJJ/テスラ(ECC83S): シーメンス同様ヨーロッパ的な落ち着いた音でやや低域よりの傾向、老舗テスラの伝統を引き継ぎ現在生産しているメーカーの中で高音質でありながらコストパーは良い。 ☆☆☆☆
EJJ/ECC803S: 高信頼管ロングプレートである。パワー感のある落ち着いた音色、やや低域よりの傾向。出力に余裕が見られるため、プリアンプなどの出力段向きか? ☆☆☆☆

評価入力段でも球の違いでかなり音質の傾向が変わることがわかった。

12AX7/ECC83の外観



左から テレフンケンECC83、シーメンスECC83、ゴールデンドラゴン83T、JJ/テスラ83S、JJ/テスラ803S

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